先日眼瞼下垂のブログを書きましたが、ちょうど昨日NHKの朝の番組で放送された中でこの“腱膜性眼瞼下垂”について触れられていましたのでもう少し詳しく説明いたします。眼瞼の腱膜とはまぶたを上げる薄い筋肉の膜で、まぶたの中にある瞼板という軟骨を引き上げてまぶたを開ける役目を担っています。前のブログで書いた眼瞼挙筋の一部がこの腱膜です。目を開ける筋肉にはもう一つミューラー筋という薄い筋肉が腱膜の裏にあり、これらの力が弱った状態を腱膜性眼瞼下垂といいます。原因としては先天性のものと加齢による筋肉の衰えやコンタクトレンズの長期装用、外傷などで起こる後天性のものがあります。腱膜性眼瞼下垂でまぶたが下がってくると額の筋肉を使って目を開けようと努力するようになります。眉毛を手で押さえて額の力が入らないようにした状態で目を開けようとしても黒目が三分の二程度しか見えないと腱膜性眼瞼下垂の可能性があります。治療は保険適用の手術となり、局所麻酔注射後にまぶたの皮膚を切開して腱膜の短縮を行います。腱膜の力が弱ってしまっている場合や腱膜自体が萎縮している場合は、体の別の部分から採取した細い腱膜で瞼板を額の筋肉に引き上げる手術が必要になることがあります。いずれの手術も術後2週間程度はまぶたに強い腫れが生じます。また、まぶたを上げるため目を閉じた時にうっすら目が開いた状態になることもあります。手術は入院の必要はなく、1時間から2時間程度の日帰り手術となります。腱膜性眼瞼下垂に対して皮膚弛緩性眼瞼下垂といって目を上げる機能は保たれていますが、まぶたの皮膚が垂れ下がって視界のじゃまになっている眼瞼下垂があります。この場合はまぶたの皮膚を切除するのみで、腱膜を短縮する必要はありません。皮膚弛緩性眼瞼下垂は下垂によって視界に影響が出る場合は保険適用となります。


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