今日はハーブを取り入れての健康をテーマにした4回目です。

■疲労・食欲不振にレモングラスの‘薬効’

レモングラスは高さ1~1.8メートルにもなり、その姿は一見、葦(あし)にも似ています。
道端に生えていても、まず気にとまることはない雑草のようなイメージのハーブです。
ところが外見からは想像がつきませんが、葉や茎にはレモンの香りに似たとても強い芳香があります。
レモンと同じシトラールを多く含有し、葉から抽出したエッセンシャルオイル(精油)から合成されるイオノンは化粧品やせっけん、香水の原料にも使われています。
それだけではなく、レモングラスのエッセンシャルオイルは、インドでは古くから駆風(おなかのガス抜き)、刺激、鎮けい、発汗、さらにはコレラの薬として利用されてきました。
中国では、「香りの茅」と呼ばれ、風邪による頭痛、下痢、はしか、のどの痛み、しわがれ声、気管支炎の治療にレモングラスの葉あるいは全草を使っています。

 レモングラスティーは、主として葉を使います。熱湯を注いだ途端、目の覚めるようなレモンの香りが漂い、それだけで心身の疲れが吹き飛んでしまいそうです。
カップに注ぐと、鮮やかなレモンイエローの液体がカップに広がります。口に含むと、レモン特有の収斂(しゅうれん)作用と酸味があります。

 味、色、香り、養分の4つが記憶力を高め、心身をリフレッシュしてくれます。寝起きで頭がボーッとしている時や、眠くなった時にお勧めします。
胃腸の弱い人、疲労感からくる食欲不振にも効果があります。食前や食後に飲めば、消化を助けてくれますし、健胃作用とともに疲労回復、女性に多く見られる貧血症の改善にも効果が期待できます。
もし、ティーに用いる乾燥した葉が生の葉と比べさわやかさが足りないと感じた時には、レモンの風味を持つレモンバーベナやレモンバーム、レモンピールを加えてみるのも一つの方法です。
また、ペパーミントやリンデンを加えてみるのもよいでしょう。

 レモングラスはレモンよりレモンらしい使われ方をしています。
その理由は、レモンは価格変動も激しい上に、色、味、香りとも当たり外れが多いのに比べ、レモングラスは常に安定しています。
東南アジアのエスニック料理では葉や種だけでなく茎の根元も使われており、家庭料理には欠かせないハーブといえましょう。
ガーリックやチリ、生のコリアンダーなどと相性がいいので、タイ、ベトナム、インドネシアのエスニック料理の風味が楽しめます。
ブーゲガルニ(フランス料理に使うハーブの束)に加えて使うこともできます。

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