人間は六臓六腑の働きがにぶると、経絡の流れが滞り、病気になるといわれています。
では、なにが経絡に影響を与えるのでしょうか?

人間は誰でも自然のなかで暮らしています。人間の体は、春夏秋冬といった季節の変化、
暑さ、寒さ、湿度といったの天候の変化、朝昼晩といった時間帯、晴れ、雨、風、雪など
の気象の変化といった自然の変化に、たえず影響されています。
あたたかな日にはいい気もちになったり、雨の日は憂鬱になったり、
寒い日には布団から出るのがおっくうになったり、
湿度の高い日はいらいらしたりするでしょう?
このように自然環境は人間の感情に影響を与えますが、
身体の中の神経系や運動系、内臓にも影響を与えています。
汗をかいたり、鳥肌が立ったりというのがいい例でしょう。
と、いうよりも神経系や運動系、内臓が自然の影響を受ける事で、
いい気もちになったり、いらいらしたりするといった、
感情の変化が表れるといった方がただしいのではないでしょうか。

こういった自然環境の変化を、東洋医学では「病気の外因」と、呼んでいます。
つまり、外部からの変化に身体がうまく順応する事で、
人間の身体は健康を保っているわけですが、その変化に身体がうまく対応できないとき、
体調をくずしたり、心身に不快を感じたりするわけなのです。
その一方で、我々は社会という対人関係の中で生活をしています。
そんな中で我々は日々、「喜び、悲しみ、憂い、思い、怒り、驚き、恐れ」
という感情をくり返して生活しています。こういった情緒の乱れを、
東洋医学では「七情の乱れ」と呼び、「病気の内因」として、最も重要視しています。
実に抽象的な事ではありますが、人間の感情を乱すものであれば、
それは六臓六腑に影響が出てしまいます。
ストレスで胃に穴が空く、というのが最たる例でしょう。

このほかにも会社や学校、家庭などで溜まったストレスによって、
暴飲暴食になったり、生活が不摂生になったりして、
体調に不調をきたす場合もあります。これを「病気の不内外因」と呼んでいます。

これら三つの原因が体内の経絡の流れに影響を与え、滞らせるために、
身体の中の内臓や組織の機能に支障をきたし、それがさまざまな症状
となってあらわれるのです。


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