神奈川県呼吸器循環器センター呼吸器科での2泊3日の検査入院の後、「一晩中ほとんど呼吸してないね・・・血中酸素濃度も低いね・・・重度の睡眠時無呼吸症ですね・・・このままほって置くと死にますよ!」と市川染五郎そっくりのちょっと頼りない若い医師にサラリと宣告され、「持続陽圧呼吸=CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)」装置を使い始めてから既に4年が経過した。

 若いころから激しいイビキをかいていて、「呼吸が時々止まっているようだ」と妻にも言われていて、ずうっと「無呼吸症」だと思ってはいたのだが、検査を受けるでもなくほっておいた。
いよいよこれはまずいと思ったのは「夢」がきっかけであった。

当時、毎夜見ていた夢は正に悪夢といってよい。
トンネルに閉じ込められたり、海底に沈められたり、がけ崩れにあったり、迷路に迷い込んで抜け出せなかったり、シチュエーションはいろいろだが、結果、いくらもがいても脱出できない!!息ができない!!苦しい!!死ぬ!!!!!というところで目が覚める、といったような悪夢であった。

次第に悪夢を見る回数が増加し、悪夢を見て目覚めた後の不整脈の発生(4回に1回は脈が飛ぶ)と動悸の激しさと、胸苦しさと、その後に再び寝ることに対するなんとも言えない不安感を強く感じるようになっっていた。

 無呼吸症は、単に昼間どうしようもなく眠くなり仕事に差しさわりが出る、事故を起こす、といったことに留まらず全身的な障害や疾病の発生原因になる。

寝ている時にたまに呼吸が止まるというよりは、ずっと止まっていてたまに呼吸する(呼吸が復活する時に大きなイビキをかく)といった具合で、一晩中満足に呼吸をしていないわけで、長時間の酸欠状態と熟睡できていないことによる自律神経の失調が問題になる。

本来、寝ることで副交感神経優位(リラックス状態)となるべきところが、一晩中交感神経優位(ストレス状態=「闘争か、逃走か」の状態)となっている訳で、眠くて交通事故を起こしてしまうといったことだけでなく、高血糖や高血圧などを引き起こし、また癌や脳梗塞、心筋梗塞、などの原因にもなる。

遺伝的要素があるが、肥満には必ずしも関係がないようで、ちなみに私は理想体重を維持しており、肥満体ではないのに発症しています。
進化の過程でヒトの顎が退化して口腔が小さくなったことと、言葉を話すために舌が発達して大きくなったことが原因とされますので、細面でおしゃべりな人が要注意かな・・・?

CPAPは鼻にマスクを付け、機械で空気を送って咽喉内を陽圧にすることで、舌を前方に押し出して鼻からの気道を確保し、空気の通りを良くする装置です。
慣れるまで違和感があって、継続できない人が3割ほどいると担当医に聞いていましたが、私の場合は全くOKで、翌朝目覚めたときには「こりゃすごい!!!!」と、効果の程を実感、というよりその結果に感動すら覚えました。

 それまでは夜中に2~3回は目覚めてトイレにいっていたので、「まあ歳のせいかな」と思っていたのですが、これがCPAPを使ったその日から夜中に目覚めることはピタリとなくなりました。それに朝起きたときの口のねばねば感やノドのイガイガ感が全く消えたのは、口呼吸をしなくなったためと思われます。不整脈も無くなりました。昼間電車の中でつり革につかまって立ったまま寝てしまうということも無くなりました。

加えて、まだそんな年でもないのにと思っていたインポテンツぎみ(所謂、中折れ状態)が解消し、またここ数年無かった「朝立ち」が毎朝のことになりました。
これは勃起という生理作用が副交感神経にコントロールされており、とりもなおさず寝ている時に副交感神経の活動が優位になった証拠です。

そのかわり、気道に陽圧がかかっているせいか、知らぬ間に空気を飲み込んでしまうらしく、朝起きた時にお腹の張りを覚えることがあり、また気持ちの良い大きなオナラを沢山するようになりました。
このオナラは腐敗性のオナラではないので臭いませんが・・・。

いずれにしても、もうCPAPは手放せません。装置の小型化とリース代の値下げ(健康保険は使えます)ができれば、もっとありがたいのですが・・・。

治療院に来る患者さんの中でも、施術中(マッサージはもとよりハリ治療中も)にすぐに寝てしまうヒトについては施術中に無呼吸が起きていないかを観察しています。あきらかに無呼吸と思われる方には、自分の経験をお話して、一度「睡眠時無呼吸外来」のある病院で検査を受けるようにお奨めし、必要があれば病院への紹介状も書くようにしています。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>