患者さんから良く出る質問。
「膝が痛くて・・・、整形外科で軟骨が磨り減っているといわれたので、テレビで良く宣伝しているコラーゲンを飲み始めたのですが、コラーゲンは効きますか・・・?」

こんな時、私はこう答えています。

飲みはじめてから3ヶ月以上経っている場合には・・・、
「効果のある無しは、ご自分で実感・評価するしかありません」、「飲み始めてから効果は実感していますか?」、「効果が有りそうだと思われるのであれば、もうしばらく続けて、さらに様子をみたら宜しいのでは無いでしょうか。」、「効果が実感できないのであれば、ご自分には合わないと思って、止めた方が良いと思います。」

飲み始めてすぐの場合には・・・
「効果のある無しは、ご自分で実感・評価するしかありません」、「3ヶ月続けてみて、効果の有り無しを判断されては如何ですか。」

実は、コラーゲンの効果には別にチャンとした説明があって、受け止める患者さんによっては、以下のような説明を行っています・・・ただし注意深く!!。

1、コラーゲンは人(動物)の体内で合成される繊維状の蛋白質の一種で、皮膚、骨、軟骨、腱などの結合組織の主成分で、ほとんど全ての臓器や器官に含まれています。

2、コラーゲンは多数のアミノ酸が結合した、極めて大きな高分子(簡単に言えば粒子)ですので、皮膚から浸透して体内に入ることも、食べて腸壁から吸収されることもありません。皮膚がコラーゲンを透過するとしたら、身の回りの有害物質のほとんどは皮膚を透過して体内に入ってしまい、大変なことになってしまいます。

3、他の蛋白質と同様に、飲食されたコラーゲンはアミノ酸に一旦分解されることにより、腸壁から吸収されるのですが、一旦分解されたアミノ酸を材料にしてコラーゲンが再合成される保証はどこにもありません。

4、つまり、コラーゲンを添加した飲料を飲んでも、フカヒレを食べても、手羽先を食べても、コラーゲンの合成が促されることは無いのです。

5、身体の中で生成されない「必須アミノ酸」を充分含む蛋白質が「良質の蛋白質」ですが、コラーゲンは構成されるアミノ酸の種類が特殊で、動物性蛋白質の中では例外的に良質でない蛋白質なのです。
 蛋白質を食べると言うことは、体内で合成される材料となるアミノ酸を供給することであって、ことさらコラーゲンを食べる意味はないのです。普通の魚や肉で良いのです。

6、なお、コラーゲン合成の過程ではアスコルビン酸(ビタミンCです)が必要になりますので、なんのことはない、焼き魚にレモンを絞って食べた方が膝にもお肌にも良いのです。「ビタミンCが不足すると壊血病になる」ということは皆が知っていますが、これはコラーゲンの合成が損なわれたため血管がもろくなったためです。

6、お肌にハリや艶が出たり、ぽにょぽにょに成ったりするのは、コラーゲンの保湿(水)効果によるのであって、コラーゲンが皮膚から浸透して何らかの効果を発揮するということはありません。健全な角質層と水分(汗)と脂(皮脂)が美しく、バリヤー効果の高いお肌を作るのです。角質層を破壊しないこと、自律神経系の働きを正常に保つことが美肌作りの基本となります。

再び書きますが、以上の説明は、患者さん(お客さん)によって、よくよく注意しながらお話しする必要があります。薬と同じで、科学的にどうであろうと、「効くか、効かないか」はまた別の次元の問題で、もっと複雑です。
せっかく効いているものを、または効果に対する期待や希望を、ノーシーボ効果(逆活性プラシーボ反応)によって、打ち消してしまう必要はないからです。


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