このブログはL&M hairのブログ【ソルトシの日記】から2007年09月20日(木)のブログを転載してます。

天然モノより加工モノ!?
このブログでは、普段お客様がなるべく使わないほうがよいモノを紹介してきました。
【高級アルコール系界面活性剤(ラウレス硫酸Naなど…)】【シリコン(ジメチコンなど…)】【せっけん(脂肪酸Naなど…)】の3点を使い続けると髪は決して良い方向には行かないと書いてきました。
ただ、髪に悪いモノばかり書いていても良いモノが何か分からなければいけないため今回はその点について書いていきたいと思います。
まず、世の中には色々な成分があります。髪に良いといわれる成分だけでもかなりの数になります。
その中で、どれが良いものなのかを見るうえで、L&M hairが気をつけてみているところは…【化学装飾】です!!

化学装飾とは…ある成分をより効果的にするために加工されたモノで、【カチオン化】【エステル化】【アルキル化】【シリル化】の4種類があります。

【カチオン化】… ペプチドの末端アミノ基を4級アンモニウムカチオン化することで、傷んだ毛髪への吸着性を高め、毛髪に柔軟性と帯電防止機能を付与するタイプです。
※分かりやすくすると、ある成分に+イオンの機能をつけて、-イオンに傾いたダメージ部分に吸着しやすくする加工

【アルキル化】… 油性成分を結合させること。アルキル化させたPPTは毛髪への吸着性が高まり、ツヤと柔軟性を与える効果がある。

【エステル化】… ペプチドの末端カルボキシル基をエステル化することで、アルコール可溶型としたタイプです。このたんぱく質は水に解けづらくエタノールやアルコールで溶解します。更に毛髪に入ったエタノール成分はたんぱく質を呼び込む作用も発揮します。

【シリル化】… シリル化PPTとはシリコンを結合させたPPT。熱を加えると毛髪に持続性のある皮膜を作り毛髪の櫛どおりを良くしツヤを付与する効果がある。
※分かりやすくすると、ヒートプロテイン(正確にはプロテインは分子量数万のことなのでPPTが正しい)のこと

例えば、よくシャンプーやトリートメントに使われるケラチンという成分ですが、同じケラチンでも分子量が数百~数万というように様々な種類がありますし(分子量に関してはブログ【サロンケアの重要性】をご参照下さい)
同じ分子量のケラチンでもカチオン化などの化学装飾を施したケラチンと化学装飾していないケラチンでは髪の吸着性が大きく変わります。
また、化学装飾と同じような意味合いで【誘導体】も見逃せいない点です。誘導体も上記の化学装飾同様、ある成分をより効果的にする加工です。
例えば、保湿成分で有名なヒアルロン酸ですが、ヒアルロン酸にアセチル基を用いたアセチルヒアルロン酸は、ヒアルロン酸の2倍の保湿性を持つヒアルロン酸誘導体です。
ただ、化学装飾と誘導体は一緒の意味と捉えられていることが多く一般的には化学装飾は誘導体の一種で考えられていることが多いのです。
例えば、ビタミンCはアスコルビン酸という成分ですが、酸化安定性が悪く分解しやすいため、ステアリン酸のエステル化で安定させたステアリン酸アスコルビル(ビタミンCステアレート)やパルミチン酸のエステル化で安定させたパルミチン酸アスコルビル(ビタミンCパルミテート)は一般的にはビタミンC誘導体と表記されます。

そして、最近は【両親媒性】も注目されています。

両親媒性とは…親水性・疎水性の両方の性質を持った媒体で、毛髪の内部も親水層・疎水層と両方の層があります。もし、ある成分が毛髪内部に浸透しようとする時、親水性の成分ですと疎水層で浸透しなくなり、疎水性の成分は親水層で浸透しなくなります。両親媒性の成分は親水層・疎水層に親水性・疎水性がうまく作用して毛髪内部に浸透します。
例えば、L&M hairで使っている成分では【ペリセア】【スピエラ】が両親媒性の成分です。
※ちなみに、両親媒性のモノは昔からあって、身近なモノですと石鹸などがあります(ただし、石鹸は補修効果はありません。詳しくは【自然派志向の落とし穴】をご覧下さい)

1つの成分をみた場合、例えばケラチンを比べるとき、分子量・化学装飾(誘導体)・両親媒性などの特性・特長を判断します。
たとえ、トリートメントなどにケラチン配合と書いていても低分子で化学装飾もされていないケラチンでしたら、シャンプーをしたときに流失しやすいのです。
また、ある成分が10%配合されていても、そのある成分の誘導体が5%配合してあったほうが場合によっては効果があります。

また、ヘマチンとケラチンタンパク質(架橋効果)、ペリセアとキトサン(内外補修)など相性の良い成分同士で、より相乗効果があります。

1つの商品(例えばシャンプー)をみた場合、成分表をみて成分の特長(濃度・化学装飾[誘導体]・その他特性[両親媒性など]・相互関係[相性]など)を見極めると同じような商品でも比べることができます。

成分を分析するのは大変困難ではありますが、上記の事を少しでも頭の片隅に記憶していただくと、○○エキス配合やケラチン・コラーゲン配合といった謳い文句でも、化学装飾などの加工もしていないプレーンなモノですと効果が少ないって言うのがわかると思います。
※プレーンなモノでも例外があって、加水分解されていないケラチン(L&M hairではケラテック[生ケラチン])は化学装飾の加工はされてはいませんが分子量が4万ダルトンと毛髪の分子量に近いため使用しています。

L&M hairでは、ホームケアのシャンプーやサロンケアのトリートメントなど上記の特長を見極めて使用するように努めています。

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